ロープラクティス民事訴訟法 基本問題10

ロープラクティス民事訴訟法の基本問題10を解いていきます。

この問題は当事者適格に関する物です。問題の中身は伊達火力発電所事件に似ているように思います。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.当事者適格とは当事者が紛争について解決するのに適切な主体であると認められることを指す。そのため、紛争を解決するための利益を有していない者について当事者適格が認められることはない。

 本件事案において、X会は権利能力なき社団であると認められ、民事訴訟法29条により当事者能力が認められるものの、X会の構成員の誰もA湾の付近に居住しておらず、付近で農業や漁業を営んでいないのであるから、Yの営む火力発電所の操業を停止させたとしても何らの利益を得ることはない。

 確かにX会は環境権を自己の利益として主張しているものの、環境権は公益であり、私権ではないため、環境権に基づく主張であっても法律上の利益があるとは言えない。

 したがって、Xは当事者適格を欠くといえる。

2.よって裁判所はX会の当事者適格を認めることはできない。

 

 メモ

 当事者適格とは、訴訟物たる特定の権利又は法律関係について当事者として訴訟追行をし翻案判決を求めることのできる資格。

 →この定義はきちんと押さえておきたい(ロープラに書いてない)