司法試験平成28年度民法

司法試験平成28年民法の答案を上げておきます。

やらかしまくっているので、間違い探しみたいになっています。

間違いの答えがわかったら、コメント欄に書き込んでいただけると幸いです。

 

平成28年司法試験 論文過去問答案パーフェクト ぶんせき本

平成28年司法試験 論文過去問答案パーフェクト ぶんせき本

  • 作者: 辰已法律研究所,西口竜司,柏谷周希,原孝至
  • 出版社/メーカー: 辰已法律研究所
  • 発売日: 2017/04/01
  • メディア: 単行本
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設問1

小問(1)

1EA及びDに対して甲土地所有権に基づく妨害排除請求として、甲土地の所有権移転登記手続き請求を行っているが、このようなEの請求が認められるか検討する。

2.所有権に基づく移転登記請求を行うためには、所有権を有しているとの事実と、登記によって土地を占有しているとの事実が認められなければならない。

 本件事案においてEAとの間で、Cの所有物である甲土地の売買を行い、Cが死亡したことにより、Aが甲土地の持分2分の1を取得していることから、C(ママ)は甲土地の持分権の2分の1について持分権を承継取得しているということができる。一方、甲土地の残りの持分権2分の1については、Dが有しており、Aはこれを得ることができていないため、AからEへの承継取得というものは行われていない。

 また、甲土地の登記については未だにCの所有となっていることから、Eの甲土地に対する占有が害されているということができる。

 したがって、Eは所有権に基づき、甲土地の2分の1について甲土地移転登記手続き請求を行うことができる。

3.一方これに対して、Aは、AE間の売買契約は無権代理であり、追認拒絶を行うことから無効であると主張することが考えられる。

 本件事案におけるAは未成年者Cの親権者(820)であるため、Cの行為について包括的代理権を有しているものの、民法8261項によって利益相反行為を行うためには家庭裁判所に対して特別代理人を選定せねばならず、これらの行為を行わずに利益相反行為を行った場合には民法113条により無権代理となる。利益相反行為とは代理人が自己または第三者の利益を図る目的のもとに代理行為を行うことを指すが、本件事案における甲土地の売買というものは、Aが自己の借金に充てるという自己の利益を図る目的の下C所有の土地を売るという親権者の包括代理権の範囲内の行為を行っていることから、A利益相反行為を行ったということができる。

 無権代理と認められた場合、民法1131項に基づいて本人が追認拒絶を行った場合に契約の効力は生じなくなるとされる。この本人について本人の地位を他の共同相続人とともに共同相続した者は含まれると解されている。そのため、Cの地位をDとともに共同相続したAEに対し追認拒絶を行うことによって、AE間の甲土地の売買契約の効力を否定することができる。

4.したがってEA及びDに対する請求は認められないということができる。

小問(2)

1DFに対して、乙地の2分の1の持分権を理由として所有権に基づく返還請求としての丙建物収去及び乙土地の明け渡しを請求しようとしているが、可能であるか検討する。

2.所有権に基づく返還請求を行うためには所有権の存在と、目的物の占有の事実が認められなければならない。

 本件事案においてDCの死亡により、乙土地の2分の1を相続していることから、乙土地の持分権を有しているということができる。また、Fは乙地上に丙建物を建築し、Dの占有を害しているということから、目的物の占有を行っているということができる。

3.これに対して、Fは乙土地所有権の登記があるため、Dの所有権を対抗することができないこと、E所有の外観を信頼して取得したことから、民法942項類推適用によりFが所有権を取得したことを主張することが考えられる。以下検討する。

(1)民法177条により登記の欠缺を主張することのできる者は、正当な利益を有するものでなければならないとされる。

 本件事案におけるFは、乙土地の2分の1の持分権について無権利者であることから、登記の欠缺を主張する正当な権利を有していない。しかし、2分の1の持分権の範囲で飲み正当な利益を有している。

 そのため、F2分の1の持分権の範囲でDの登記の欠缺を主張することができる。

(2)民法942項というものは権利の外観を信頼し取引に入った者を保護する規定であることから、虚偽の外観を作出し善意の第三者がその外観を信頼して取引に入った場合、民法942項類推適用によって契約の無効を主張できなくなる。

 本件事案において、Dは虚偽の外観を作出したとの事情はないため、F民法942項類推適用により、Dの所有権の喪失を主張することはできない。

4.したがってDFに対し、丙建物収去及び乙土地明渡を請求することはできない。

設問2

小問(1)

1.MEに対し、EH間の金銭消費貸借契約に基づいて500万円及びそれに対する利息や遅延損害金の支払いを求めようとしているが可能であるか検討する。

2民法587条に基づく金銭消費貸借契約の終了を理由とする貸金返還請求を行うためには、①金銭消費貸借契約の成立、②目的物の交付、③返還期の到来の事実が認められなければならず、さらに利息や遅延損害金の請求を行うためには特約がなければならない。また、債権譲渡による場合には⑤債権譲渡の事実を主張しなければならない。

(1)本件事案においてEH間でEHから500万円を借り受け、利息年15%遅延損害金年21.9%弁済期平成27331日と定めていることから、EH間の金銭消費貸借契約が成立したということ、利息、遅延損害金についての特約があることが認められる。

(2)また、Hは金銭消費貸借契約に基づいて500万円を交付しており、平成27331日は到来している。

(3)さらに、HMに平成2641日に債権譲渡を行っている。

(4)そのため、MEに対し、EH間の金銭消費貸借契約の終了に基づいて、500万円及び、利息や遅延損害金の請求を行うことができる。

3.これに対して、Eは、EH間の契約は、民法90条に違反し無効であることを主張することが考えられる。

 民法90条にいう公序とは国家作用のことを指し、賭博は国家によって禁止されていることから、賭博を援助する行為すなわち、賭博を行うことを予期しつつ、金銭を貸す行為も公序に違反する行為とされる。また、このような行為は禁止されるべきものであることから、絶対的無効とされる。

 本件事案においてHEが賭博に使うつもりであることを認識しつつ、金銭を貸していることから、EH間の金銭消費貸借契約は無効であるということができる。また、この無効は絶対的無効であるため、Mに対しても主張することができる。

4.したがってMEに対して契約上の債権に基づき金銭の請求を行うことはできない。

小問(2)

1.次にM民法703条に基づき500万円とそれに対する利息や遅延損害金の支払いを求めようとしているが、可能であるか検討する。

2.不当利得に基づく請求をするためには、損失を被ったことと、相手方が利益を得たことと、損失と利得の間に因果関係のあることと利得について法律上の根拠のないことが認められなければならない。

 本件事案において無効な債権をHから400万円で得たことによってMには損害が発生しており、E500万円の返還を免れている状態にあるということができる。しかし、Mの損失とEの利得との間には因果関係がない。

3.よってMEに対して法定債権に基づいて請求をすることはできない。

小問(3)

1LEに対して求償権に基づいて584万円の支払いを請求しようとしているが、可能であるか検討する。

2.連田尾保証人が債務者に対し、求償を行うためには、主債務が存在し、連帯保証人が弁済したとの事実がなければならない。

 本件事案において、EK間において、主債務が存在しており、LKとの間で保証契約を書面で行っていることから、LK間において、EK間の債務を主債務とする連帯保証契約が成立している。

 また、LKに対し、弁済を行っていることから、LEに対する求償権を取得したということができる。

3.これに対し、EKEに対して500万円の交付を行っていないことから、EK間の金銭消費貸借契約は成立しておらず、LEに対する求償権も根拠のないものであると主張すると考えられる。

 このEの主張のように主債務が成立しておらず、無効であると考えられることから、Eの主張は正当である。

      4.よって、LEに対して、584万円の求償を行うことはできない。