スポーツ法まとめメモ(12)

スポーツ法と紛争解決方法について書いていく。

スポーツ関係については裁判所のみで解決できる紛争はないと考えたほうが良い。適宜ADRも検討する必要がある。

 

 

標準テキスト スポーツ法学 第3版

標準テキスト スポーツ法学 第3版

  • 発売日: 2020/05/07
  • メディア: 単行本
 

 

 スポーツにおける紛争

 スポーツに関する紛争については、①スポーツ事故に関するもの、②暴力、セクハラに関するもの、③スポーツ団体の代表選考に関するもの、④スポーツ団体の不正経理に関するもの、⑤スポーツ団体内部での主導権争いに関するもの、⑥選手契約や移籍交渉に関するもの、⑦ドーピングや八百長に関する不服申し立ての七つがある。

 紛争解決手段については、訴訟による裁判所を介した紛争解決方法と、その他の裁判所の関与を必要としないADRがある。

 そのため、以下、訴訟とADRに分けて考える。

 

訴訟による解決

 訴訟によって紛争解決を行うためには、法律上の争訟に該当しなければならない。法律上の争訟とは、「当事者の具体的権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、法律の適用によって終局的に解決しうるもの」と解されている。そのため、スポーツ団体内部の懲戒処分や、会員権については訴訟によって解決することはできない。

 しかし、①②④⑥については裁判所で争うことができると考えられている。

 ただし、③についても損害倍書請求という形であれば争うことができる。

 

仲裁による解決

 仲裁とは、当事者が紛争の解決を当事者が自ら選んだ仲裁人の判断に委ねる紛争解決であり、仲裁人が裁判所類似の判断を下し、執行決定を付することによって強制執行を行うこともできる。

 仲裁を行うためには、仲裁合意がなされ、スポーツ仲裁裁判所や、日本スポーツ仲裁機構に仲裁を申し立てて行う。

 こちらでは③⑤⑦を含めた問題について争うことができる。

 また、仲裁判断はのちの仲裁判断やスポーツ団体内の判断の際に考慮される。