ロープラクティス民事訴訟法 基本問題34

ロープラクティス民事訴訟法の基本問題34を解いたため書いていきます。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.Xは後訴において売買契約の詐欺取り消しを理由として所有権抹消登記請求を行っているが、このXの訴えが前訴判決の既判力の作用により社団されるか検討する。

(1)民事訴訟法114条1項によれば、確定判決の既判力は主文に包含するものに限り認められるとされている。

 本件事案における前訴判決はYのXに対する売買契約に基づく所有権移転登記請求であり、Yの請求を認めることで確定している。そのため、YのXに対する売買契約に基づく移転登記請求を認めるということについて既判力が発生している。

(2)既判力は、前訴訴訟物と同一、先決、矛盾関係にある訴訟物について作用すると解されている。

 本件事案における後訴の売買契約の取り消しを理由とする移転登記抹消登記請求は、前訴判決と矛盾する訴訟物であるため、既判力が作用する対象であるといえる。

(3)また、既判力は消極的作用として、前訴判決の確定時点である口頭弁論終結時の時点の判断と矛盾する法律関係を争うことができなくする作用が認められる。

 本件事案において、Xは後訴において売買契約の取り消しを主張しているが、契約の取り消しというものにはさかのぼって法律関係を無効にするという遡及効が存在するため、取り消しを認めることは前訴口頭弁論終結時点の法律関係と矛盾する判断となる。

 そのため、売買契約の取り消しを前提とする後訴は既判力の作用により遮断される。

2.したがって、Xの主張は前訴判決の既判力の作用によって遮断され、請求が棄却される。