訴訟上の和解の効力について書いていく
1.まず、Xが訴訟上の和解の効力を否定することができるか検討する。
(1)民事訴訟法267条によれば、訴訟上の和解が成立した場合、確定判決と同一の効力を持つため、民事訴訟法114条1項の既判力も発生するとされる。しかし、取り消し事由がある場合、和解が無効になるため、既判力は発生しないとされる。
(2)本件事案において、Yは行政上の規則について隠しており、テナントビルが建てられないにもかかわらず、Xは立てられるものと誤解している。また、このテナントビルが建てらるかどうかは明示されていたため、契約の内容となっていたといえる。
(3)そのため、和解契約の内容についてXY間に錯誤があるといえるため、和解契約について既判力は発生しておらず、Xは和解の効力を否定することができる。
(4)よって、Xは訴訟上の和解の効力を否定することができる。
2.次に和解契約の無効を主張する方法であるが、和解契約の無効を再訴によって主張する方法と、民事訴訟法93条1項に基づき期日指定申し立てを行う方法とがある。
前訴に既判力が発生していないことから、両方の手段によってXは和解の効力を争うことができる。