ロープラクティス民事訴訟法 発展問題20

類似必要的共同訴訟に関する問題です。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.本件事案においてX1らはA県知事に対する住民訴訟を提起しているが、この住民訴訟がどのような性質の訴訟であるか検討する。

 類似必要的共同訴訟であるといえるためには、共同訴訟人間で合一確定の必要はあるものの、当事者全員で権利の確定を行う必要はない訴訟であるといえなければならない。

 本件事案においてX1らは住民訴訟を提起しているが、このような訴訟は一つの請求が認容されると、共同訴訟を提起したもの全員に利益がもたらされるものであるといえるものの、住民全員で権利の確定を行う必要はない。そのため、住民訴訟は類似必要的共同訴訟であるといわれる。

2.類似必要的共同訴訟が提起されると、他の利害関係者が別訴を提起することができるか問題になるが、類似必要的共同訴訟は、共同訴訟人間で合一に確定させなければならないことから、別訴を提起できないと解されている。

 本件事案において、X4らは、別訴でAに対する同じ理由の住民訴訟を提起しようとしているが、これはX1らと合一に確定しなければならないことから、この別訴を提起することはできないとされる。

 したがって、X4らの訴えは却下される。

3.類似必要的共同訴訟において共同訴訟人が死亡したとしてもその者との関係で訴訟が終了するのみであり、他の共同訴訟人に影響を与えない。

 本件事案においてX4が死亡しているが、この場合X4との関係で訴訟が終了するのみであり、X1らの他の共同訴訟人に影響を与えない。

 したがって、X4の訴えは却下されるものの、X1らの訴えは適法なものとして審理される。

4.類似必要的共同訴訟である場合に上訴する場合、共同訴訟人全員が上訴する必要はないとされている。

 そのため、本件事案においてX2が上告していないものの、X2無しでも上訴は適法に行われており、X2が上告していないことを理由として上告は却下されない。

5.また、類似必要的共同訴訟において共同訴訟人に一人が上訴の取り下げを行った場合、その共同訴訟人との関係で訴えが取り下げられたことになるため、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。

 本件事案においてX5が上告を取り下げているが、この取り下げはX5との関係で適法に行われ、他のX1らには影響を及ぼさない。

 そのため、X5が上告を取り下げたからと言って上告が却下されることはない。