ロープラクティス民事訴訟法 発展問題21

訴訟告知に関する問題です。

 

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

Law Practice 民事訴訟法〔第3版〕

  • 作者:山本 和彦
  • 発売日: 2018/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 1.民事訴訟法53条1項によれば、訴訟の係属中参加できる者に対して訴訟告知をすることができるとされている。この訴訟告知自体は訴訟係属に関する事実の通知ではあるものの、民事訴訟法53条4項により訴訟告知を受けたものに対して参加的効力が発生するとされる。

 本件事案において、Yは求償権について法的利害関係を有するZに対して訴訟告知を行っているため、Yが敗訴した場合、民事訴訟法53条4項によって補助参加を行わなくてもZに民事訴訟法46条の参加的効力が及ぶ。

2.民事訴訟法46条にによれば、参加した当事者が敗訴した場合で、民事訴訟法46条各号の事由がない場合、被告知者との間で参加的効力が生じるとされる。

 本件事案において、Yは前訴で敗訴しており、さらに、民事訴訟法46条各号の自由もないため、Zに参加的効力が及んでいるといえる。

3.参加的効力は、信義則上肯定されるものであることから、主文だけでなく、判決理由中の判断についても生じているとされる。ただし、訴訟告知による場合で被告知者が参加しなかった場合、被告知者に主張の機会が与えられなかったといえるため、参加的効力が後訴の主要事実に関する限り及ぶとされる。

 本件事案の前訴において、主債務が存在することを前提として保証債務履行請求が認められたのであるが、後訴においてZは主債務の存在を否定する主張を行っている。この主債務の存在の事実はYのZに対する求償請求の主要事実となっていることから、参加的効力によりZは主債務の存在を争うことができない。

4.また、Zが補助参加をしなかったのが主債務者はYであることを理由として争っている場合、主要事実に関わらない部分について矛盾しているといえるため、参加的効力により妨げられない。

 したがって、この場合、Zは主債務の存在を争うことができる。