ロープラクティス商法 事例49

合併比率の不公正と合併無効に関する問題です。

 使っている問題集は第三版のものです。

Law Practice 商法〔第4版〕

Law Practice 商法〔第4版〕

  • 作者:黒沼 悦郎
  • 発売日: 2020/03/19
  • メディア: 単行本
 

 

 1.XはYに対して合併比率が不公正であることを理由として、会社法828条1項7号に基づき合併無効を主張しているがこのような主張が認められるか検討する。

 会社法828条1項7号に合併無効を主張することのできる事由について規定されていない。そのため、重大な違法がある場合に限り合併無効を主張することができるとされている。

 本件事案においてXは合併比率が不公正であることを理由として合併無効を主張しているが、合併比率が不公正である場合、会社法785条の反対株主の株式買取請求を行うべきであり、合併比率の不公正も会社法786条の株式の価格決定によって解消することができると考えられていることから、合併比率の不公正は会社法828条1項7号の無効理由とならないとされている。にもかかわらず、Xは合併比率の不公正を理由に合併無効を主張しているため、このようなXの主張は認められないと解される。

2.したがって、Xの請求は認められない。