平成31年司法試験予備試験商法

平成31年司法試験予備試験商法を解いていきます。

 

会社法 第3版

会社法 第3版

 

 

 設問1

 1.Dは取締役会決議の無効の訴えを提起していることから、検討する。

(1)会社法369条1項によれば、取締役会において、決議を行うためには、取締役の過半数によって行われなければならないとされる。

 本件事案における本件取締役会決議を行うに際して、CはDを会社法369条2項の取締役に該当することを理由として、議決権を行使させないこととしている。しかし、会社法369条2項の特別の利害関係を有するとは決議によって利益を受けることを指すが、Dは解任される取締役であるため、そのような利害関係はない。

 したがって、Dに議決権を行使させなかったCの行為は会社法369条1項に違反しているということができる。

(2)取締役会決議について違法があれば無効であるとされるものの、そのような違法事由があっても決議について影響がない場合、取締役会決議は無効とはならないとされる。

 本件事案において、本件取締役会決議にDが参加したとしても、C、Eの賛成によって、取締役会の過半数を超える者の賛成があったとして、決議は可決されていたと考えられる。

(3)したがって、Dは本件取締役会の無効を主張することはできない。

2.よって、Dは取締役会決議の無効を主張することができない。

設問2

1.Dは会社法831条1項1号に基づき株主総会決議の取り消しを主張すると考えられるため検討する。

(1)会社法831条1項1号によれば、株主総会決議の取り消しを主張するためには、株主総会決議の方法について違法がなければならない。

 会社法341条によれば、取締役の解任についての決議を行うためには、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の過半数によって決議がされなければならないとされる。

 本件事案において、Aの100株が相続されたにもかかわらず、議決権を行使する者を民法252条の規定に基づき共同相続人の過半数によって決定していなかったことから、誰も行使できない状態にあったということができる。そのため、Aの100株の議決権について出席がなく、甲社株式の過半数の議決権を有する株主が出席していないと認められる。

 したがって、株主総会決議の方法について会社法341条に違反する違法があるということができる。

(2)会社法831条2項によれば、裁量棄却を行うことができるとされるものの、定足数を満たしていないとの事実は重大な違法であり、裁量棄却を行うことはできない。

2.したがって、Dは後者に対して、株主総会決議の取り消しを主張できる。